ライントレースマシンの動作を理解したい

 動機

この回路で動作原理も分からないまま電子工作を行って、なんか、まずい気がしてきたからですね(汗)。

回路図

問題の回路図です。


こんな感じです。
実際にはリレーのスイッチにも回路がありますが、これらの回路で関係ないため、省きました。
R1=10kΩ,VR1=最大30kΩ,CdS=明800Ω 暗1MΩとします。Tr1は2SC1815,RLはG5A・234pという型番の素子を使用しています。


マシンの動作

動作は、黒いラインからの反射した光をCdSが受け取ると、光量が少ないため、CdSの抵抗値が大きくなり、リレーが動作しなくなります。
黒いラインからはみ出た白い部分からの反射した光をCdSが受け取ると、光量が大きくなるため、CdSの抵抗値が小さくなり、リレーが動作します。

言い忘れていたんですけど、ライントレースマシンは黒いラインと白いラインを判断して動く機械って感じです。


ざっくりとした動作原理

CdSの抵抗値によってトランジスタTr1のベースに流れる電流IBの量が変化し、それによるコレクタ電流ICの増幅によって、リレーが動作するかしないかを決めているんだと思います。

必要になる値

ベース電流IB
コレクタ電流IC

次にこれらの求め方を説明しながら自分も学んでいきます。

トランジスタのベース電流の求め方

例としてCdSが明の状態での動作?流れ方?を考えてみます。CdS=800Ωですね。
ベース・エミッタ間電圧は約0.6Vです。したがって、VR1とTr1のベース部分に0.6V印加されています。
これらの情報からVR1に流れている電流が分かります。ここではVR1=15kΩとしておきます。
オームの法則からIVR1=0.6V/15kΩ=4×10^-5A=40μAとなります。

次にR1,CdS部分の流れている電流を計算していきます。
まず、R1,CdSの抵抗は合計で10.8kΩです。
この抵抗に印加されている電圧は9V-0.6V=8.4Vとなります。
これらの情報から電流を計算します。
I1=8.4V/10.8kΩ=0.78×10^-3=780μAとなります。

したがって、Tr1のベース電流IBは780μA-40μA=740μAの電流が流れていることになります。
こんな感じかな?


コレクタ電流を求めてみる

ベース電流からコレクタ電流を求めるには直流電流増幅率という値をベース電流にかけることで求めることができます。直流電流増幅率は基本的にトランジスタのデータシートに書いてあります。

そこで2SC1815の直流電流増幅率をデータシートから求めようと思ったのですが...
なんと、2SC1815トランジスタは4種類存在し、それぞれ増幅率が違うみたいです。出来れば自分で作成した回路のトランジスタの型番で計算したいところですが、分類を把握しておらず...ここでは増幅率150とします。

つまりコレクタ電流ICはIC=150×740μA=111mAとなります。
これでトランジスタ関係の計算は以上です。

リレーのデータシートを見てみる

「とりあえずコレクタ電流IC、ベース電流IBも求められるようになったけど、肝心なのはリレーが動くか動かないかでしょ」
そう声が聞こえてきそうです。大丈夫です。求められます多分。
要はCdSが明状態でのコレクタ電流がリレーの定格電流に合致すればいいわけです。んで、最終的に可変抵抗の値を求めてればおkです。というわけで早速データシート見ていきます。

書いてありました。この回路では9Vの電圧が印加されているのでその部分の定格電流を見ればいいわけです。ですが、これはちょっとまずいかもです。問題なのはトランジスタです。

リレーの定格電圧9Vの時の定格電流を目安に計算して、可変抵抗の値を決めても実際の回路は正常に動かないかもしれません。
リレーの定格電圧9Vということはリレーで9V使い果たしてしまうということです。おそらく残った電圧は0.なんちゃかVでしょう。
その場合、トランジスタでは飽和領域と呼ばれる領域に到達します。この領域は上のグラフの0に近いところの部分です。この領域ではベース電流IBの変化でコレクタ電流ICがほとんど増加しない領域らしいです。(詳しいことは分からない)魔の三角海域みたいな感じです。
まあ、とにかくリレーの電圧降下はほどほどにしてコレクタ・エミッタ間電圧に使える電圧を残そうってわけです。

というわけでリレーは定格電圧5Vの欄を参考にしていきます。つまり、コレクタ電流ICは40mAです。

可変抵抗の値を求めてみよう

後はどんどん計算するだけです。
ベース電流IBを求めます。直流電流増幅率は150とします。
IB=40mA/150=0.267mA=267μA
R1,CdS部分の電流は780μAなので780μA-267μA=513μAの電流を抵抗VR1に流せばいいわけです。
VR1=0.6/513μA=1169Ω≒1kΩ
可変抵抗の値は1kΩです。

CdS暗の場合はどうなるの

CdS暗の場合はどうなるか考えてみます。
CdS暗の場合なので1MΩです。
この時、R1,CdS部分の電流はI2=8.4V/1MΩ=8.4μAとなります。(R1の抵抗を足していませんが足しても似たような値です。)

ここまで読んだら分かると思うんですが、8.4μAでは、可変抵抗最大値の30kΩを設定してやってもIVR1=0.6V/30kΩ=20μAを流してしまうのでトランジスタ側に電流を全く流すことができません。
したがって、リレーは動かないというわけです。

まとめ

題名からするとめっちゃ脱線した記事ですが、結果的に理解はできました。トランジスタの理解もかなり深まっていい感じです。

トランジスタを使った電子工作もなんかやってみたいですね。今なら少しは使いこなせそうです。
以上です。


















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